what is binderバインダー(ラッパ)とは
- ホーム
- バインダー(ラッパ)とは
バインダー(ラッパ)とはwhat is binder

バインダー(ラッパ)は、素材の端にテープを巻きながらミシンで縫製するための専用アタッチメントです。
一見地味に見える存在ですが、美しく正確な縫製仕上がりを実現するためには欠かせない重要な部品。
靴・カバン・車両シート・手袋・介護具など、さまざまな縫製現場で活躍しています。
バインダーの種類TYPE
バインダーには用途や素材に応じて、さまざまな種類があります。
矢野商会では、お客様の製品・ミシンに最適な形状を提案しています。
-
Rタイプ(テープ送りタイプ) 素材にテープを均一に巻く際に欠かせない、Rタイプバインダー(ラッパ)。
その名称が示す通り、ラッパ部分がなだらかなカーブを描いているのが特徴です。 -
爪タイプバインダー(ラッパ) カノコ式バインダーの一種で、薄くて幅広いテープの縫製に適しています。
出口が短く、急なカーブの縫製にも対応可能です。
適した素材:中厚物テープ、薄手レザーテープ、幅広テープ
適していない素材:厚手の革、レザーテープ -
ロールバインダー 片面に糊を引いたテープを両折りし、専用のロール機でひも状に仕上げます。
素材や厚みに応じて一点ずつ製作するため、さまざまな素材に対応可能です。
靴・かばんのメッシュ、サンダルのバンド、アクセサリー、ベルト、工具入れの縁など幅広い製品に使われており、バンド状テープの多くが本製品で作られています。
素材や用途に合わせたオーダーメイドにも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。
バインダーの構成composition
Rタイプバインダーは、ラッパ口金・針板・押さえ金・送り歯の4点で構成されます。
中でも押さえ金は、テープの形状に合わせて精密に加工されていないと、美しい仕上がりは得られません。
ラッパ口金 | テープを二つ折り、三つ折り、四つ折りにする役目を担うパーツ。口金部分と取り付け台部分から成ります。 口金部分はテープの厚さに合わせて製作します。万一、厚手用に作られたラッパ口金に薄手のテープを挿入すると、テープと口金の間に遊びが生じ、安定した縫製ができません。 また、逆に薄手用のラッパに革製などの分厚いテープを挿入すると、テープとラッパ口金に抵抗が生じ、送り不良や素材の縮みの原因となります。 一般にテープの厚みを「厚手」「薄手」「標準」と称しますが、縫製の業種や現場に応じてかなり異なります。 テープに合ったラッパ口金を製作するには、テープそのものを見本としてご用意いただくのが一番です。 |
---|---|
針板 | 針板とはラッパ口金を取り付ける部分です。 Rタイプバインダー(ラッパ)の針板は、ラッパ口金が針板上面より沈み込むように、三日月型の穴を設けた「三日月針板」を使用します。 この三日月型の穴部分は、ラッパ口金部分の形状と縫製物へのぬいしろに合わせて加工します。 詳しくは「バインダー(ラッパ)の組み方~針板の加工」をご覧ください。 |
押さえ金 | 押さえ金は、縫製個所の針落ちに接するパーツ。ラッパの仕上がりを左右する、最も重要な部分です。 ラッパ口金によって二つ折り、三つ折り、四つ折り状になって出てくるテープを素材に縫い付けやすくするため、テープ縫い上がり幅に合わせて加工しなければなりません。 押さえ金がラッパ口金に適合していないと、縫製の仕上がりにも不具合が生じます。 縫製時にトラブルが生じた場合は、押さえ金の状態を確認してみるのも、問題解決へのひとつの糸口です。 |
送り歯 | 通常の平ミシン3列送り歯は、右列の送りが中列より長く、Rタイプバインダー(ラッパ)の取り付け台部分に接触するため使用できません。 そのため、Rタイプバインダー(ラッパ)用には、右列の送り歯をカットしているものを使用します。 さらに、裏側を深く巻けるように製作した場合のRタイプバインダー(ラッパ)は、ラッパ口金部分が送り歯左列に接触するため、左列もラッパ口金に接触しないようにカットしています。 |
バインダーの組み方HOW to
バインダーの取り付け・組み方も縫製の安定性に関わる重要なポイントです。ただし、オーダーメイドにてセットでご注文いただく場合は、改めてラッパを組む必要はありません。
-
-
Step.01
ぬいしろとラッパ口金の形状に合わせて「三日月穴」部分を削る
ラッパ口金を針板に取り付ける場合、ラッパ口金部分が針板上面より沈み込むようにするため、三日月型の穴を設けた「三日月針板」を使用します。
針板の三日月穴部分は、ラッパ口金部分の形状と、縫製物へのぬいしろに合わせて加工します。
・ラッパ口金の前後位置
ラッパ口金土台の前面をセットする位置は、針板の針穴と送り穴の中列の穴端との中間を基準線にしてください。万一、この基準線より前にラッパ口金を取り付けてしまうと、ミシンの針落ちと近づきすぎて、スムーズにテープを折ることができません。
また、この基準線より後ろ側に付けすぎると、針落ちから離れすぎてしまい、ラッパを通ることで折れて出てきたテープが、元の形状に戻ろうとして、 思う通りにテープを折ることができません。 前過ぎても後ろ過ぎてもダメ。
ラッパ口金土台を基準線にしっかりと合わせる必要があります。
・ラッパ口金の左右位置
ラッパ口金の左端から針穴の中心線までの距離がぬいしろに合うようにします。
二つ折りバインダー(ラッパ)や、裏側が深くかかるように製作されたバインダー(ラッパ)に合わせる場合、 三日月穴と左辺送り穴の間にある針板部分を削り、つながったような状態にすることがあります。
-
-
Step.02
テープの出口に当たらないよう針板を斜めに削る
針板のラッパ位置が決まれば、次はテープがスムーズにラッパ口金から出るよう、針板を加工します。
加工なしでは、ラッパ口金の出口部分が針板表面より下に沈んでしまい、針板の三日月穴出口部分にテープがつっかえてしまいます。
そこで三日月穴出口部分の断面を、三角やすりで斜めに削り加工することで、テープをスムーズに送り出せるようにします。
しかし、三日月穴と左辺送り穴をつなげている針板の場合、三日月穴出口を削っただけでは縫い不良が生じるケースもあります。
その際は、針板の裏側も削ってください。こうすることで、縫い糸の“ひっかかり”や、裏側が「タオル目状」になる縫い不良は防げるはずです。
-
-
Step.03
テープがスムーズにラッパに入るように削り下げる
STEP2同様、ラッパ口金の入り口部分に対しても、テープがスムーズに挿入できるように、針板の三日月穴入り口部分の表面を削り下げます。
-
-
Step.04
ラッパ止めのネジ穴を開ける
最後に、ラッパ口金土台にある穴の中央と重なるよう、針板に止めネジ穴を開けます。
一般的には3.0mmの下穴を開け、面板止めネジ用のタップで仕上げます。
-
-
Step.05
加工完了
以上で針板の加工は完了です。
手順に従って加工することで、使い勝手のよい針板に仕上がったはずです。
-
-
Step.01
ラッパ口金に当たる部分を切り取る
本縫い平ミシンの場合、Rタイプバインダー(ラッパ)に使用する押さえ金は、バインダー(ラッパ)用押さえを加工して製作します。
上下送りの場合は中押さえを加工するのが一般的です。
まず、ラッパ口金を針板に止め固定します。その状態で、押さえ金がラッパ口金の形にフィットするように削っていきます。
-
-
Step.02
テープの上がり幅と形状に合わせて削る
次に、押さえ金の裏側を加工します。押さえ金の裏側は、ラッパ口金から折れて出てきたテープがその形状を損なわないように直接押さえる個所。
加工次第でテープの上がり幅を左右するため、加工は慎重に行ってください。
三つ折れ、四つ折れラッパは一般的にテープのぬいしろが浅いため、押さえ金はこれに合わせて、針穴の左端を削らない程度に削るのがコツです(図1)。
二つ折れの場合はぬいしろが深いため、押さえ金も針穴全体にかかるように削ります(図2)。
-
-
Step.03
加工完了
以上で押さえ金の加工は完了です。 テープがうまく巻けるかどうか、早速お試しください。
矢野商会では、ご希望があればミシンや用途に応じた組み合わせ例もご提案いたします。
初めてバインダーを導入される方もご安心ください。