針板の加工について
こちらでは、本縫い下送り平ミシン用を例に挙げ、既存の針板をラッパ口金に合わせて加工する技術についてご説明します。縫製現場の方必見の、「製作者だからこそ分かる加工ポイント」も掲載しています。
ラッパ口金を針板に取り付ける場合、ラッパ口金部分が針板上面より沈み込むようにするため、三日月型の穴を設けた「三日月針板」を使用します。針板の三日月穴部分は、ラッパ口金部分の形状と、縫製物へのぬいしろに合わせて加工します。
ラッパ口金の前後位置
ラッパ口金土台の前面をセットする位置は、針板の針穴と送り穴の中列の穴端との中間を基準線にしてください。
万一、この基準線より前にラッパ口金を取り付けてしまうと、ミシンの針落ちと近づきすぎて、スムーズにテープを折ることができません。
また、この基準線より後ろ側に付けすぎると、針落ちから離れすぎてしまい、ラッパを通ることで折れて出てきたたテープが、元の形状に戻ろうとして、思う通りにテープを折ることができません。
前過ぎても後ろ過ぎてもダメ。ラッパ口金土台を基準線にしっかりと合わせる必要があります。
ラッパ口金の左右位置
ラッパ口金の左端から針穴の中心線までの距離がぬいしろに合うようにします。
二つ折りバインダー(ラッパ)や、裏側が深くかかるように製作されたバインダー(ラッパ)に合わせる場合、三日月穴と左辺送り穴の間にある針板部分を削り、つながったような状態にすることがあります。
針板のラッパ位置が決まれば、次はテープがスムーズにラッパ口金から出るよう、針板を加工します。
加工なしでは、ラッパ口金の出口部分が針板表面より下に沈んでしまい、針板の三日月穴出口部分にテープがつっかえてしまいます。そこで三日月穴出口部分の断面を、三角やすりで斜めに削り加工することで、テープをスムーズに送り出せるようにします。
しかし、三日月穴と左辺送り穴をつなげている針板の場合、三日月穴出口を削っただけでは縫い不良が生じるケースもあります。その際は、針板の裏側も削ってください。こうすることで、縫い糸の“ひっかかり”や、裏側が「タオル目状」になる縫い不良は防げるはずです。
STEP2同様、ラッパ口金の入り口部分に対しても、テープがスムーズに挿入できるように、針板の三日月穴入り口部分の表面を削り下げます。
最後に、ラッパ口金土台にある穴の中央と重なるよう、針板に止めネジ穴を開けます。一般的には3.0mmの下穴を開け、面板止めネジ用のタップで仕上げます。
以上で針板の加工は完了です。
手順に従って加工することで、使い勝手のよい針板に仕上がったはずです。
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